S&P500とは?初心者でも分かる投資の基本

このコラムでわかること

① S&P500とは何か、その特徴と重要性
② S&P500に選ばれる銘柄の条件
③ 日本からS&P500に投資する方法とそのメリット

S&P500とは?

株式投資に興味があるものの、何から始めれば良いのか分からない――そんな方にとって、まず知っておきたいのが「S&P500(エスアンドピー500)」です。米国経済を代表するこの指数は、世界中の投資家から注目されており、初心者にも最適な投資対象として知られています。

S&P500とは、「Standard & Poor’s 500 Stock Index(スタンダード・アンド・プアーズ500種株価指数)」の略称で、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している、アメリカ経済の動向を把握するうえで非常に重要な株価指数です。アメリカを代表する上場企業500社の株価を基に算出され、業種・規模・流動性などの基準を満たした企業が選ばれます。構成銘柄にはテクノロジー、金融、エネルギー、医療、消費財など多岐にわたる分野が含まれており、アメリカ経済全体の動向を反映しています。

S&P500は米国株式市場の時価総額のおよそ80%をカバーしており、米国市場を把握するうえで欠かせない指標です。構成企業の多くは、誰もが知る巨大企業です。例えば、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)、Googleの親会社Alphabet(アルファベット)、Meta(旧Facebook)などが挙げられます。これらの企業は時価総額が非常に大きく、S&P500全体に与える影響も大きくなります。

S&P500の銘柄に選ばれる条件とは?

S&P500に構成銘柄として採用されるためには、いくつかの厳格な基準を満たす必要があります。主な条件は以下のとおりです。

時価総額が82億ドル以上であること
浮動株(市場で売買可能な株式)比率が全体の50%以上であり、浮動株の時価総額が一定水準以上であること
※最新ではさらに高い基準(例:164億ドルなど)に引き上げられる場合があります。
直近4四半期すべてで黒字を計上していること

これらに加えて、S&P500独自のセクターバランスや市場構成のバランスも考慮され、最終的な銘柄が選定されます。

なお、S&P500の構成銘柄は四半期ごとに見直しが行われますが、必ずしも定期的に入れ替えが行われるわけではなく、市場環境や企業状況に応じて変更されます。

S&P500はどうやって計算されている?

S&P500は「時価総額加重平均型」の株価指数です。これは、日本の株価指数である日経平均株価が225社の平均株価を基にしているのに対し、S&P500では企業の時価総額に応じて指数への影響力が決まる点が大きな違いです。つまり、構成銘柄の株価が同じだけ動いた場合でも、その企業の時価総額が大きいほど指数全体に与える影響も大きくなります。例えば、アップルやマイクロソフトの株価が1%動いた場合、その変動はS&P500全体を大きく動かす可能性がありますが、小規模な企業の株価変動はそれほど影響しません。

こうした特徴を持つS&P500は、実際にはどのように計算されているのでしょうか。

S&P500の算出方法は以下の通りです。構成銘柄の浮動株調整済みの時価総額の合計を「指数除数(divisor)」で割ることで算出されます。この除数は株式分割や配当などに応じて調整され、指数の継続性を保っています。

日本からでもS&P500に投資できる

S&P500に投資するということは、アメリカを代表する500社に広く分散投資することを意味します。個別企業を選ぶ手間が省けるうえ、リスクの分散効果も期待できるため、初心者にも適した投資手段といえるでしょう。

日本国内の証券会社でも、S&P500に連動する投資信託やETFが広く取り扱われており、数千円程度の少額から投資を始めることができます。近年では、つみたてNISA(少額投資非課税制度)の対象商品として、S&P500型の投資信託が高い人気を集めています。

ただし、アメリカの資産に投資する場合、為替変動(円高・円安)の影響を受ける点には注意が必要です。例えば、米国株が値上がりしても、そのタイミングで円高が進行していれば、円換算のリターンは目減りする可能性があります。逆に、株価が横ばいでも円安が進めば、日本円での資産価値が増えることもあります。このように、為替の動きが投資成果に影響を与える点は、外国資産に投資する上で避けて通れない要素です。

こうした為替リスクを軽減する方法のひとつが「為替ヘッジ」と呼ばれる仕組みです。これは、円高や円安といった為替の変動による損益をできるだけ小さく抑えるために、為替の動きに備えておく仕組みです。 例えば、同じS&P500に投資する商品でも、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類があり、自分がどのくらい為替の影響を受けたいかによって選ぶことができます。

なぜ注目されるのか?

S&P500は、アメリカ経済の景気動向を反映する指標として注目されています。日経平均やTOPIXが日本経済を反映するのと同様、S&P500もアメリカ経済の全体的な動向を捉えることができますが、S&P500はテクノロジー、金融、消費財などさまざまな業種の企業をバランスよく組み入れており、アメリカ経済の多面的な側面を反映しやすい特徴があります。

さらに、S&P500は世界中の投資家から高い信頼を集めており、多くの投資信託やETF(上場投資信託)がこの指数に連動して運用されています。そのため、S&P500の動向を注視することは、米国市場だけでなく世界経済全体の流れを把握する手がかりにもなります

これらを総括すると

S&P500は、アメリカ経済を反映する代表的な株価指数であり、分散投資によるリスク軽減効果も期待できます。世界中の投資家に信頼されているこの指数は、アメリカを代表する500社の株価で構成されており、初心者でも少額から投資を始めやすい商品が多く提供されています。為替リスクにも注意が必要ですが、長期的な視点で安定した投資を目指すには最適な選択肢となるでしょう。S&P500を理解することで、経済の動向や投資の基本を学ぶ第一歩として活用できます。

《参考文献》
S&P500とは? ダウ平均との違いをわかりやすく解説” . 三井住友銀行 . https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/foreign/usa/knowledge/005.html/ , (参照 2025-04-25).
“S&P500とは?基礎知識から投資方法まで詳しく解説!” . 三井住友銀行 . https://www.smbc.co.jp/kojin/money-viva/toushi-ippo/0010/ , (参照 2025-04-25).